掘鑿工法と施工機械

深井戸の掘鑿工法にはいくつかの種類があるが、それぞれ特性があり、いかなる場合でもこの工法が絶対優れているといった施工法はありません。 それぞれの工法が掘鑿すべき地層への適応性、井戸の口径と深度、掘鑿地点の立地、作業条件、環境衛生上の問題点、作業工程と経済性などの諸点において長所と短所が存在します。 鑿井工事は、掘鑿、スクリーンを含むケーシングの設置、砂利充填と遮水仕上げ洗浄、揚水試験の各作業の組み合わせからなっており、これら施工、仕上げの難易度を勘案しながら、より適切な工法を選択する必要があります。 掘鑿工法を掘鑿作用の差異により大別するとロータリー式とパーカッション式及びダウンザホールハンマ式(DTH工法 or エアハンマ工法)に分けられます。 主な相違点を表にして以下に示します。

掘鑿施工フローチャート
鑿井
垂直に掘鑿した円孔と鉄管等のケーシング管(井戸側)との環状間隙に砂利を充填し、仕上げ完成した井戸をいう。

1.準備
現場下見、用地宿舎折衝、資機材準備を行う。
2.仮設
機械・諸仮設資材の搬入、組立、解体、撤去、整地を行う。
3.掘鑿
計画深度までの掘鑿、コンダクタパイプ設置抜管、掘進中の掘鑿土砂廃棄泥水処理。
4.孔内検層
計画深度までの掘鑿、コンダクタパイプ設置抜管、掘進中の掘鑿土砂廃棄泥水処理。
5.ケーシング
ケーシング挿入準備とケーシング(スクリーン)パイプを裸孔に挿入する。
6.砂利充填
ケーシング挿入後、所定深度までゆっくりと砂利充填を行う。
7.遮水
充填砂利の上部は、砂、粘土、発生残土またはセメントスラリーにて、表層の汚染物質侵入の防止の遮水を行う。
8.仕上げ
セメント硬化後、掘鑿時の使用泥水を排出して地下水の湧出を促進する。孔壁の洗浄に、薬品を使うこともロータリー式では多い。
9.揚水機据付け
仕上げ作業終了後、揚水機を設置し、断続または連続にて洗浄揚水を行う。
10.揚水試験
洗浄揚水が終了すると、一連の揚水試験を行い、水理定数と適正揚水量(経済揚水量)を求める。この揚水試験中に、水質分析用の検体を採取し、公的機関に分析依頼を行う。
11.報告書提出
現場作業が終了後、鑿井工事資料(柱状図・検層図井戸構造図・水理定数解析結果・水質分析結果・地質サンプル・工事写真)をまとめ、報告書として一括提出する。
